昨日、「星が回る予定帳」として方位予定帖の予告を書きました。そのあとも電さんと手を入れ続け、きょう、ようやく人に勧められる形になりました。思いつきを話し、作ってもらい、確かめ、また直す。その一日半の記録を、開発日記として残しておきます。
最初の日は、暦の確かさを固める仕事でした。節入りや冬至・夏至の時刻を天文計算で求め、国立天文台の暦要項と照らして、差が一分以内であることを確かめました。方位の吉凶は、高木彬光『改訂版 方位学入門』の方位表と同じ規則で判定しています。
月の暦をマウスでなぞると方位盤が付いてきて、星が日ごとに升目を移る。これは私の思いつきで、電さんが形にしてくれました。
夜には、代金を受け取る仕組みを設けました。ネットで収入を得るのは、私には初めてのことです。決済の画面や設定に何度も迷いながら、試しに一度買い、解錠番号がメールで届くのを確かめてから、返金まで済ませました。
日々の吉凶を、その日の八方位の吉凶の平均で見せることにしました。電さんは最初、日付の下に細い線を三本引く形で作りました。けれど、線よりも背景の色のほうが一目で分かる。そう話して、日付の枠そのものを塗り分けることにしました。色は方位盤と同じ色味です。
色だけに頼ると、色の見分けにくい方には伝わりません。日付の横の星(二黒など)の左に、「吉・普・凶・大凶」の文字も添えました。要らない方は消せます。
私は、特に大事なことに取りかかるとき、年盤・月盤・日盤のすべてで同じ方位が吉になる日を選んで動くようにしてきました。それをボタン一つで出せるようにしました。「月・日」を押せば月盤と日盤で吉が重なる日、「年・月・日」を押せば三つすべてで重なる日だけが、枠に囲まれて浮かびます。
日付にマウスを乗せると日盤が出ます。そこで押すと月盤、もう一度押すと年盤に替わり、星がまた順路どおりに回ります。年・月・日の盤を続けて頭に入れるための工夫です。
予定帳としての使い勝手も直しました。月の暦の中の予定をつかんで、別の日へ動かせます。右クリックすれば、その場で完了にしたり消したりできます。
方位と方位の境目の近くにある行き先は、吉凶を出さないことにしました。流派や計算の仕方で答えが割れやすいところです。大事をとって慎重に動くべきだ、という意味を込めています。
作ったものが方位学にきちんと従っているか、電さんに念を入れて確かめてもらいました。電さんは、作業を見ていない別の担当にも、九星気学の決まりを一から調べて点検させました。
暦は公開されている九星暦とすべて一致しました。そのうえで一つ、抜けが見つかりました。年・月・日の十二支の反対側に当たる歳破・月破・日破です。一般の九星気学では誰にとっても凶とされますが、高木先生の方位表には入っていません。
加える前に、歴史上の出来事を六つ調べてもらいました。タイタニック号の船長の出航は月破と日破が重なり、ケネディ大統領のテキサス遊説は歳破に当たっていました。南極点に一番乗りしたアムンセンや、日本海海戦の東郷平八郎は、どの破にも当たっていません。
ただし電さんは、六件では何も言えないとはっきり言いました。でたらめな日と方角で試しても、三つの破のどれかに当たる割合は三割五分ほどあるからです。それでも、大事をとる道具として加えることにしました。破に当たる方位は、ほかの判定が軽くても「凶」とし、そのことを但し書きで明記しています。
・年盤・月盤・日盤の中宮:天文計算で別に組んだ暦と2,923日分を照合し、すべて一致。公開の九星暦とも33日分が一致
・吉凶の規則:本命星9 × 中宮9 × 八方位の648通りを、別に書き起こした規則と照合し、すべて一致
・破の方位:別の計算と10年分(3,653日)を照合し、すべて一致
・画面の表示:本命星9通りで15か月分を動かし、背景色・文字・吉の重なる日・方位盤・凶の一覧など102,483項目を照合し、不一致なし
できあがった予定帖を眺めていて、気づいたことがあります。色の付いた日の半分以上が、「やや注意」か「注意」なのです。
もっとも、色の四段階は、一年の日々がほぼ四等分になるように区切ってあります。注意側が半分を少し超えるのは、物差しの作りによるところもあります。そこで電さんに、物差しを使わずに数えてもらいました。
・凶の方位がひとつもない日:本命星9通りのどれでも、一日もありませんでした
・一日に凶となる方位の数:八方位のうち平均して四つ近く(本命星が五黄土星の方は二つ半)
・年盤・月盤・日盤のすべてで吉が重なる方位のある日:本命星によって年に25日から212日。三碧木星・四緑木星の方は、年に一か月ほどしかありません
毎日、どこかに危うい方角がある。それが暦の上の事実でした。
私は、人の人生や生きざまを見てきました。そこで感じてきたのは、平凡ということがいかに素晴らしいか、ということです。平凡は、実はきわめて非凡なことなのです。
友人がよく、毎日が暇で同じことの繰り返しだ、面白くない、とこぼしていました。けれど、何事もなく一日が終わるのは、多くの条件がそろった結果です。ほとんどの日は、危険や問題の起こりうる中に、人は生きています。
凶のない日が一日もないのなら、生きるのが大変なのも当然です。それを知ったうえで、無事な一日に感謝し、大事なときほど慎重に動く。方位学は、怖がるための道具ではなく、平凡を守るための道具だと思います。それを分かって生きていくことが、人生の達人になる鍵なのでしょう。
次は、予定帖に地図を載せる工夫です。自宅・勤務先ともう一か所を起点として登録し、行き先を地図の上で拾うと、方位と距離が出る。海外への出張や南半球、真北と磁北の違いまで扱えるように、設計と計算の検算を済ませたところです。
今回も、私が欲しい道具を話し、電さんが組み立て、確かめ、また直しました。私はこの付き合い方を「電任」と呼んでいます。丸投げでも使い走りでもなく、互いを信頼して仕事を分け合う関係です。
予定の記録と今日の日盤は無料です。1,000円で購入日から1年間(自動更新なし)、すべての日の方位盤と、吉凶の色分け・吉の重なる日・凶の理由が見られます。
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牧正人史先生が昭和三十三年に発見された姓名科学の体系を、デジタルの形で遺す仕事を続けています。方位予定帖の暦も、この仕事の中から生まれました。
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